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「私たちは合法的に天様と結婚して、この庭で静かに暮らしています。納税もしているし、近隣の住民とも良好な関係を築いてきました。たとえ天様が逮捕されても、私有地であるこのお庭に、外の人間が立ち入る権利はありません」  胸の中に、安堵と不安が同時に湧く。天様が逮捕される、そんな可能性もあるってことなのか。  向日葵さんは厳しい顔で目線を下げ、ただ、と続けた。 「(あやめ)蒲公英(たんぽぽ)、それに柚子は、未成年です。本来なら結婚に親権者の同意がいる……でも、それを得られる状況じゃなかったことは、みんな、分かってくれますね?」  注目を浴びた私は、息を呑んだ。菖ちゃんは暗い顔で自分の体を抱き、ぽぽちゃんは涙を溜めて親指の爪を齧っている。 (もしかして、天様が逮捕されたら私達のせい……?)  お庭を追い出されたらどうしよう。  養父が待つ家に、あの担任がいる教室に、連れ戻されたらどうしよう。 「う……っ」  想像しただけで、吐き気が込み上げてきた。喉でこらえた私の背中を、楓さんがさすってくれる。 「大丈夫。絶対に、あなたたちを放り出したりしないから」  楓さんは涙目でそう言い、私をぎゅっと抱きしめた。彼女の肩越しに、菖ちゃんとぽぽちゃんも花嫁たちに囲まれているのが見える。 「心配しないで」 「私たちは家族なんだから」  力強い声が食堂に響き、私たちを包み込むこのお庭の温かさに、胸が熱くなった。
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