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※
薪を集めて家に帰って来た爺さんは、婆さんが伸びた儘、床の上に寝転がっているので婆さんを揺り起こした。
「どうしたんじゃ!ばあさま!」
「あ、あの、えーと、急に何かが飛んで来てわしにぶつかって、そんで、わしはびっくりして引っくり返って、それから・・・」
「それからどうした?」
「わ、分からん」
「お前、伸びとったんじゃ」
「そ、そうか・・・」
「それより、お前、タヌキをどうした?」
「え?あ、天井に吊るした」
「天井に?」
爺さんは天井を見上げたが、何処にもいないので、「何にもおらんぞ!」と言うと、「ほんとだ」と婆さんが天井を見上げながら間抜けに言うので、「折角の獲物を、このたわけ!」と一喝し、タヌキの奴どう逃げたんじゃろうと不可解になり不思議に思った。
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