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「それからずっとみぃちゃん、たっくんにべったりなんです。たっくんもそんなみぃちゃんが嫌じゃないみたいで。」
みぃは人懐っこく、誰にでも自然に笑顔を振りまくような女の子。
……この『誰にでも』というところがミソで、誰とでも仲良くなるが、特定の人に執着をみせることはない。
遊んでいた子が他の子と遊び始めたら、みぃも別の子と遊び始める…みたいな。
「…珍しいですね。」
「そうなんです。もしかしたら、ハンカチを見つけてくれたたっくんのことを好きになったのかもしれませんね。」
ふふふとにこやかに先生は微笑んだ後、「外で待つのは退屈でしょうから、どうぞ教室の中で待っていただいていいですよ。」なんて言いつつ、教室の隅…カーペットの上に小さな丸いちゃぶ台が置かれてあるスペースへ案内してくれた。
「子供たちがおままごとをするときに、よくここを使っているんです。」
確かにちゃぶ台の周囲にはおもちゃのコンロや食器、ぬいぐるみ等々のおままごとに使えそうなものがかごに入れられ整理整頓されている。
「いつもこの時間には、おままごとの好きな子供たちは帰っているので、遠慮なくどうぞ。……もちろん車で待ってもらってもかまわないですけど……。」
せっかく先生が気を使ってくれてるんだ。
どこで待ちぼうけしたって別にかまわない。
「ありがとうございます。ここで待たせていただきます。」
あたしはそう返事をし、ちゃぶ台のおままごとスペースに腰を下ろした。
なんとなくだけど、かごや子供に合わせた小さな棚で『おままごとのスペース』という区切りがされているので、ちょっとした部屋にお邪魔している気分。
そんな空間の中、あたしはバックの中から読みかけの小説を取り出した。
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