たっくんとおはなししたい

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数少ないあたしの趣味、読書。 休みの日は本の虫になっていること多し。 そんなあたしの大好きな場所は、もちろん図書館。 今読んでいる本も図書館で借りたもの。 ちらりとみぃを確認すると、例のたっくんとうれしそうに積み木をどこまで積めるか…なんてやっている。 あたしはバックからスマホと本を取り出し、まずはスマホでみぃの母……あたしの兄の奥さん、兄嫁へメッセージ。 『みぃがもう少し残るというので、あと三十分ぐらいして帰ります。なので、少し遅くなります。』 みぃはあたしの姪っ子。 姪とはいえ自分の子供ではない。 いつもと違うことがあれば、親へ連絡するのは社会人としての常識。 みぃの両親、あたしの兄夫婦は、自宅で美容院を営んでいる。 兄はよくしゃべり、とてもお調子者。 兄嫁はそんな兄の上を行くおしゃべり好き。 一緒にいると自然と笑顔になってしまうほどの底抜けに明るい裏表のない人だ。 だからみぃが誰にでも人懐っこいのも、この両親の影響なんだろうな……と思っている。 そんな二人の美容院が繁盛しないわけもなく、いつもお客さんが来てわいわいやっている。 今もわいわいしながら誰かの髪を触っているのだろう。 ……そろそろあたしの髪も伸びてきたし、暇そうな時に切ってもらおうかな。 今は頭の後ろでお団子にまとめているロングヘア。 職場の規則で、肩より長い髪はアップにしてまとめなきゃいけないのよ。 そろそろお団子が大きな肉まんサイズになってきているから、髪をまとめるのも一苦労でして。 だからといって、ショートカットは寝癖とか朝大変そう。 早いうちに切ってもらおうなんて考えながら、今度はあたし自身の母へも先ほどとほぼ同じ内容のメッセージを送っておく。
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