夏空

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改札を出た所で、ミツキが手を挙げた。 白いシャツが眩しい。帽子が洒落ている。こいつは沈着冷静、学生の頃から周りをよく見て、気遣い、心配りの出来るいい奴でなんとなく気が合った。 ミツキの家には、何度となく遊びに行ったが、天満宮への道はうろ覚えで、初めて歩くような気がした。 先ずはお参りして。というので、鳥居をくぐる。 樹々が小さなお宮を守るように植えられ心地良い木陰を作っていた。 静かな空間。 ミツキは長々と手を合わせていた。 「天満宮って学問の神様だよな。今の案件が無事通り過ぎますようにって聞いてくれるかしらん?」 「なんだよ。通り過ぎるって。それはどうかと思うけど?」 「ん、出来るだけ火の粉は被りたくない。ミツキは長々何お願いしてたんだよ」 「秘密」 「わ、酷っ」 「成就のあかつきには話すよ」 「絶対だぞ」 「ああ」 ミツキは帽子に手をやって、なんだかはにかむみたいに笑った。
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