クジョウ君

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夏の日は長い。 ダラダラといつまでも喋り、ビールの次にワインを飲み、オペラグラスはキラキラ光って、本当に未来が見えそうで、なんとなくいい気分だった。 JRに乗り入れるようになって、乗り換えはあるけど全然近い。とミツキに言われて、来た道とは違う道を歩く。 午前中賑わっていた通りは、店々が既に撤去されてただの遊歩道になっていた。 「おばさんに宜しく」 と言う俺にミツキは頷いてから、 「クジョウ君、偶には磨いてやれよ」と笑った。 「おぉ、またなぁ」 オペラグラスと一緒に手を挙げた。 ふた駅で乗り換え、急行あとのせいか、珍しく空席に腰を下ろしたのがいけなかった。 よく歩きよく喋り、暑くて、昼間から飲んだアルコールのせいか、車内の冷房は心地良く、すうっと睡魔がやって来た。
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