40人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
僕は席から立ち上がった。
「加奈さん。僕は君のことを全く知らない。それに僕には他に好きな娘がいるんだ。だから、ごめん、君の気持ちは受け止められない」
加奈が大きく目を見開いている。彼女の瞳に涙が滲んでいるのも分かる。
「うん、答えてくれて、ありがとう。それじゃね」
彼女は泣きながらカフェを出て行った。
残された僕は何とも釈然としない気持ちで一杯だった。僕の真理への気持ち、あのドキドキをどう解決すれば良いんだろう?
でも一つだけ確かなのは、真理は僕に全く興味が無かったということだ。全ては友達の加奈の為にやったことだったんだ。
僕の目にも涙が浮かんで来た。加奈がそうであった様に、僕の片想いのドキドキもこの瞬間、終わってしまった。
ーーー
次の日から、僕は通学ルートを東横線からJRに変えた。
この傷心な気持ちのまま、毎朝、真理を見るのが耐えられなかったからだ。そのまま高校卒業まで、一度も真理と加奈には会うことが無かった。
最初のコメントを投稿しよう!