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ほんのとびら、開店!
子ザルのもん吉が、おじいさんの困りごとを解決して欲しくて、森の中で、ふくろうを探していた日のことです。
ガタ・ゴト、ガタ・ゴト…
小さな車が一台、森の広場へ入ってきました。あまり見かけたことのない車です。広場にいる、クマの子やキツネの子たちは遊びに夢中で、車には全然気がつきません。もん吉だけが、車に気がつきました。
もん吉が、枝の間からそっと下を覗いていると、車から一匹のリスが降りてきました。リスは荷物を次々に車から運び出しています。
いったい何を始めるのだろう?
リスのことをもっとよく見ようとしたもん吉は、体を動かしすぎて、支えにしていたしっぽが枝からスルッとはずれてしまいました。そして、そのまま大きな音を立てて、木から落ちてしまいました。
バサバサ……ドシンッ!
地面におしりを打ちつけたもん吉が、あまりの痛さに目を白黒とさせていると、リスが声をかけてきました。
「きみ、大丈夫かい?」
もん吉が顔を上げると、毛玉のようなリスの大きなしっぽが目の前でユサユサと揺れていました。
「う、うわ〜〜〜〜」
ユサユサと揺れる大きな毛玉に驚いたもん吉は、悲鳴を上げて逃げ出そうとしましたが、びっくりしたのと、おしりが痛いのとで、動くことができません。もん吉は、その場で目をつぶってじっとしていました。
「全く……どうしたというのだ。子ザルくん、大丈夫だから、少し落ち着きなさい」
よく聞くと、なんだか優しくて、とても落ち着いた感じの声です。
「大丈夫かい? 子ザルくん」
リスは、心配そうに、もん吉を見ています。
「うん。ちょっとおしりが痛いけど、平気さ」
もん吉は、おしりをさすりながら立ち上がりました。
「心配してくれてありがとう」
「突然、大きな音がしたからびっくりしたよ」
そう言うと、もん吉の様子をみて安心したのか、リスは車の方へ戻っていきました。
リスにつられて、もん吉も車のところまで行ってみると、車のそばには細長い机が置かれていました。机の向こう側に立ったリスは満面の笑みを浮かべると、もん吉に向かって深々とお辞儀をして言いました。
「私は、本の案内人。あなたにぴったりの本をお探しします。ようこそ『ほんのとびら』へ。」
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