SWITCH

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 ダイナミクスという性が好きじゃない、嫌いだ。 征服だとかなんだ、何故そんなものが生まれてしまったのか。人間が進化する過程で、それ程重要視されるようなものだったのだろうか。  俺には全く理解ができない。  だから、嫌いなのだ。ドムもサブも――ダイナミクスと言う人種全てが。  誰も帰宅していない家に帰り、自分の部屋に直行して引きこもる事一時間。答えの出ない自問自答と性への文句を吐き捨てながら、俺はベッドの上で誰にもぶつけようのない鬱憤に喘いでいた。  志村も男なら抵抗しろよ。……いや、サブはドムの言葉に逆らえない。ましてやドムへの最後の抵抗であるセーフワードも設けていない。彼には抵抗のしようがないのだった……。  俺はそこまで考えて、頭を抱えた。  やられる方にもやられるなりの理由がある、だからいじめに関して俺はあくまで他人事であるが、血流沙汰の暴力となればまた話が違う。  俺は脳裏に蘇る志村の真っ赤な血溜りを思い出し、肌がぞわりと粟立つのを感じた。  恐らく東達は、志村のアフターケアなんて絶対的にしないだろう。そうなれば、志村は未だにあの教室に一人で倒れているかもしれない。気絶している程度ならば、まだ良いけれど……死んでいたら?
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