SWITCH

29/46

196人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「ん、う……」  ぬるりと差し込まれる熱い舌が、舌先から時間をかけて俺の舌を絡め取る。唾液を混ぜ合いながら、自由を奪い取って行く。 「伊波、ストリップ」  微かに離れた唇の狭間で言われる。彼の熱く浅い呼吸に心音が乱れ、頭の芯がぼうっと茹っていく。俺はベルトに手を掛けて、彼の身体の下で、ズボンごと下着も脱ぎ去る。考える間もなく、驚く程抵抗なくやってのけてしまえるのは、サブとしての性だろうか。  しかし、今はそんな事はどうでもいい。  彼の青い炎の宿るこの眼差しに従いたい。 「リック。舐めろ」  そう命令され、差し出された舌に、俺は手を伸ばして彼の首を引き寄せると、その厚みのある舌に吸い付いた。舌の平を重ね、湿り気と熱を確かめながら、舌裏も舌先を尖らせて辿る。  志村の片手が俺の後頭部を、あやすように撫で引き寄せてくれると、今まで味わった事のない充足感で、力が抜けていく。  うっとりとした生暖かいゼリーに浸るような微睡のような、半分夢の世界でぼんやりしていると、胸の尖りを弄っていた手がへその下、もっと奥の茂みを通り抜けて、露わになったそこに触れてくる。驚いて一瞬我に還るけれど、志村の舌先が唇を離れて俺の耳朶を甘噛みすると、肩を通り腕を抜け、脇から腰へと甘い電気が走る。外耳を丁寧い象りながら、舌先を耳の奥に入ろうとする。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加