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「あ、俺もう、だめ……っ、はぁ、ああっ」
腰がびりびりと痺れて、背筋から頭の先を突き抜けるような快楽が走り抜けた。嬌声を上げると同時に、溜まっていたマグマが地表へと溢れ出し、彼の手を穢し腹を濡らす。
こんな快感、知らなかった。
「まだ出てる」
そう言いながら、爪先で先端を引っ掻かれると、身体が水から上げられた魚のように跳ねた。
「離して……っ、これ以上は、や……」
俺は背に回していた腕を解くと、
「ちゃんと射精できたな」
そう言いながら、優しい口づけを落としてくれる。儘ならない呼吸の途中での、優しくて穏やかなキスに、俺はされるがままに彼の腕の中に小さく収まる。
ずっとこのまま、この腕の中で丸まっていたくなるような心地に、俺は抗う術を忘れる。髪を優しく梳いてくれる指先や、体温が心地良く、この腕の中だけが安息地のような気持ちにさえなってくる。
なんだろう、これ。これが、この性の世界?
「嫌な事あったか?」
「ない……」
俺はぼんやりと、生きてきて初めて感じる一ミリの隙間もなく満たされた感覚に指一本動かせなくなっていた。
初めて他人に与えられたオーガズムは、どんな麻薬よりも強く身体の筋肉を弛緩させた。なんだこれ、どうなってるんだ。そんな答えを求めない自問自答を繰り返しながら、俺は意識を手放した。
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