SWITCH

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 ダイナミクスに生まれた自分を呪えばいい。 サブに生まれた自分と、そう産んだ親を怨めばいい。生きる責任は、全部自分にある。  俺はそう自分に言い聞かせてから席を立つと、食べ終えた皿を流しの中に置いて、学校へと向かった。  家から自転車で走って十五分。坂道のない平坦な通学路を軽快にペダルを踏み込めば、二年前に何の苦労もせずに入学できた高校がある。偏差値としては中の上であり、それなりに生活指導に厳しい教師が揃っているが、それは表面上に過ぎない。  この「学校」という四角い箱の中に押し込まれて居るのは他人に興味がある目をして、自分にしか興味ない生徒と、円滑で面倒を一切排除したい教師というバイトをしている大人達だ。  俺もその中の一部に過ぎない。  人波をすり抜けながら自転車を滑らせるようにして校門をくぐると、駐輪場へと向かう。数名の生徒達が、狭い駐輪場への場所取りに躍起になっていた。俺はその駐輪場から少し離れた花壇の傍に自転車を置くと、 「おはよ」  と背後から声を掛けられ、振り返る。 「おう。おはよ」  クラスメイトの中島真が丁度俺の隣に自転車を停めるところだった。ききっと油の少なくなった車輪の悲鳴を響かせ止まると、彼は自転車から降りて鍵を掛ける。
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