操り人形

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操り人形

目が覚めた時、あたしは病院のベッドの上にいた。 白い部屋、消毒の匂い、点滴のパック。 体中が痛くて動かすこともできなくて、目だけ動かしてそれらを確認していった。 自分の呼吸音だけが規則正しく聞こえて来る。 誰かいなのだろうか? どうして自分はここにいるんだろうか? 少し右手を伸ばしてみると、肩のあたりから鋭い痛みが全身に駆け巡った。 ナースコールのボタンがあるはずなのに、そこに手を伸ばすことも困難だった。 諦めて誰かが入って来るのを待とうと思った時だった。 いいタイミングで病室のドアが開く音が聞こえていた。 看護師さんか担当医の先生が来てくれたのだろう。 そう思っていた視界に入ったのは和人の姿だった。 和人、なんで? そう聞きたいけれど、声がでなかった。 「目が覚めたんだね。よかった」 和人はそう言ってほほ笑む。 「交通事故に遭ったんだけど、覚えてる?」 そう聞かれて、あたしは事故前の記憶を取り戻した。 そうだ。 あたしはボーっとしながら横断歩道を渡っていて、事故に遭ったんだ。
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