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下手をしたら破いてしまいそうだ。
「ネット上で良い言霊をまき散らすのも効果的かもしれない。でも、咲紀の日記に書けばもっと効果があるんじゃないかなって」
和人はあるページで手を止めた。
そのページをあたしの眼前へ移動させる。
『和人は死なない。和人は死なない。和人は死なない。和人は死なない。』
『愛菜は死なない。愛菜は死なない。愛菜は死なない。愛菜は死なない。』
その文字に、笑ってしまいそうになる。
けれど、筋肉がひきつるような感覚があるだけで、笑えていないようだった。
「咲紀はこの日記に書いたものが現実になるよう、呪いをかけて死んだ。だから、このノートに咲紀の呪いは消えると書いたんだ。だから、もう安心だからね」
和人はそう言い、笑う。
咲紀の呪いが消えたことはもうわかった。
だから、今のあたしがどうなっているのか知りたい。
「愛奈。どうして俺がここまで愛菜を守るかわかる?」
グッと顔を寄せてそう聞いてくる和人に、あたしは視線を逸らせた。
和人があたしのことを好きなのは、薄々感づいていた。
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