操り人形

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だからこそ、修人からあたしを守ってくれたのだ。 修人と和人の2人であたしを悪者にした方が、リスクもずっと少なかったはずなのに。 視線をそらし続けるあたしを見て、和人はスッと身を引いた。 「そうだ。起きてからまだ1度も自分の姿を確認してないんじゃない?」 そう言われて、あたしは視線を和人へ戻した。 和人は鞄の中から手鏡を取り出した。 「確認する? いつも通り、可愛いけどね」 かざされた手鏡を見て、あたしは自分の目を疑った。 そこに写っていたのは顔も頭も包帯でグルグル巻きにされた、まるでミイラのような自分だったのだから。 咄嗟に手鏡を払いのけようとしたけれど、体を上手く動かくことができず跳ねるような形になってしまった。 あたしの体、全身が包帯だらけなのかもしれない。 「心配しなくても大丈夫。愛菜には最上級の手当てがされるからね」 和人はそう言い、再びあたしに咲紀の日記を見せて来た。 『愛菜の体は元通りになる』 その一文にホッとしたのもつかの間、咲紀の日記を和人がずっと使っていたのではないかと、疑問を感じた。
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