44人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
言霊の呪いがかけられた日記と和人。
和人はあたしのことが好き……。
不意に、背中に寒気が走った。
さっきからどうして他の人が病室に入ってこないんだろう?
どうしてここには和人しかいないんだろう?
次々と疑問がうかんでくる。
「おっと」
和人がノートを取り落としそうになった瞬間、あるページの文章が目に入った。
『愛菜は和人なしでは生きられなくなる。
愛菜のすべては和人のものになる。
愛菜と和人はずっと一緒にいる。』
なに、それ……。
どんどん血の気が引いて行く。
気を強く持っていないと、今にも気絶してしまいそうだ。
目の前の和人の顔が、歪んで見えた。
「あ、ごめん見えちゃった? ちょっと過激に書いただけなのに、こんな大事故が起こるなんてね」
和人はそう言って笑う。
「でも大丈夫だよ。愛菜は俺がいれば生きていけるんだから」
和人はそう言い、愛しそうにあたしの頭を撫でた。
撫でられた箇所は激しい痛みが走り、顔をしかめる。
しかし、それを表現する術を持ち合わせていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!