乱れ

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「……この死にたがり」 「お前が殺したがりなだけ」 「それは、あんたがっ……」 思わず怒鳴るように叫んでしまいそうになったけれど、感情的になるなと自分に言い聞かせる。 「俺が、何?」 「……っ、なんでもない」 彼から顔を背け、またオムライスを口へと運ぶ。 感情的になってしまえば周りが見えなくなる。 冷静さを欠いてはならない。 心を落ち着かせるため、静かにオムライスを食べ進め。 「食べ終わったなら帰って」 雪夜が先に食べ終えたのを見て、帰るように促す。 早く帰ってほしい。 そうでないと本気で手をかけたくなるから。 「……じゃ、また明日な」 それを読み取ったのか、雪夜は簡単に立ち上がり鞄を持つ動作をして。 「あ…これ、置いとくな。 あんま危険なもんは持つなよ?」 家に来てすぐに奪われた拳銃を返してくれるようで、ベッドの上に放り投げられる。 「あんたに言われたくない」 復讐するため、闇の世界に飛び込み。 子供である自分の心を捨てた。 体を捨てた。 「いつかそれが必要なくなるようにしてやるよ」 「……は?」 つまり私の命を奪うとでも言いたいのだろうか。 そんなこと屈辱でしかない。 親を殺された相手に私も殺されるだなんて─── 「早く裁きを受ければいいのに」 別に命を奪うという復讐は敵わなくとも、刑務所に行くのならそれでも構わない。 とりあえず目の前の男が苦しむ姿を─── 「さあ、どうなるだろうな」 彼は私に怯むこともなく、相変わらず余裕な笑みを浮かべていた。
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