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第10話 反逆皇子(逆取順守)
我が名は葛城、中大兄皇子である。
吾は舒明天皇と皇極天皇との第2皇子である。
吾は19歳の頃、異母兄である古人大兄皇子を
謀反の罪に仕立てた。
吾はいつからだろうか天下を夢見る欲望の鬼が、
吾の体に住み着いたのは。
とにかく兄が邪魔だった。
兄がいる限り吾は天下を取ることが出来ぬのだ。
兄は過去に蘇我入鹿に命じ、
聖徳太子の子である山背大兄王とその一族を
皆殺しにしているがこれを逆に利用してやった。
吾は19の頃先ず、吾の忠実な臣下中臣鎌足らと
謀り、皇極天皇の御前で蘇我入鹿を暗殺する
クーデターを起こし蘇我入鹿を暗殺させた。
(乙巳の変と後に呼ばれるようになる)
入鹿の父蘇我蝦夷は翌日自害させた。
入鹿が権力を手に入れ権威を振りかざっていた為
なかなか母は天皇を譲れないでいた。
母は実の子である吾を先ず天皇を譲渡しようと
したが吾は兄がまだいるので泣く泣く辞退した。
母は次に義理の兄である古人大兄皇子に天皇を
譲渡しようとするが兄も辞退した。
実は吾は入鹿暗殺の際兄を脅していたのである。
そこで母の弟で叔父に日本で初となる天皇を譲渡
孝徳天皇として即位された。
それから3ヶ月後、吾は兄に謀反の罪を仕組む為
嘘の事柄を家臣に言わせ、吾自ら兄を謀反の罪で
処刑した。
叔父の孝徳天皇は元号を大化とし、
飛鳥から難波に都を移し、
各分野で制度改正を行った。
(これを大化の改新と後に呼ばれるようになる)
吾はそれから皇太子に任命された。
皆の衆が吾を慕うようになるには
今すぐ吾が天皇になっては駄目なのである。
順序が必要で吾は前から吾が天皇になる道標を
自ら計画しそれが順調に進んでいった。
ただ吾は、生涯でゆういつ人を心から
好きになった人が出来た。
好きになってはならぬ吾の妹の間人皇女だ。
吾の妹間人皇女は両親が同じである為、
好きになってはいけないルールがある。
だが、吾は、好きになってはいけないと
忌まわしめれば忌まわしめる程に
無意識に心から間人皇女を好きになり
どうしようもなかった。
間人皇女は孝徳天皇が即位した年に
叔父の孝徳天皇の皇后として嫁いだ為、
吾は孝徳天皇の事も日々憎らしくなっていった。
その頃吾は色んな妻や愛人を作り
吾の欲求のはけ口に次々と子が出来たのだ。
吾の妹を思いながら。
吾が27歳の頃、吾の可愛い妹間人皇女を
口説き妹も吾を慕っていて少し迷ってはいたが
叔父の孝徳天皇より吾について行くと決め、
吾は孝徳天皇のいる難波宮より飛鳥へと
戻る計画を立て、叔父の孝徳天皇に難波より
飛鳥へ一緒に戻る提案を出したが叔父は頷かず、
吾は母、妹の間人皇女や弟の大海人皇子を
引き連れ飛鳥へと戻った。
その翌年吾は馬を出し、叔父のいる難波へと
こっそり行き叔父を毒殺し、毒と判らないよう、
叔父の孝徳天皇は病気でお亡くなりになったと
皆に伝えた。
叔父の孝徳天皇が亡くなった後、
再度母が斉明天皇として即位した。
その3年後吾は弟の妻である額田王に
こともあろうか、色っぽさについつい
寵愛し何度も欲に溺れてしまった。
そのお詫びに吾は実の娘1番目〜4番目までを
弟にくれてやったのだ。
あれは吾が娘達を可愛く思ってないのが
すぐ判ってしまう行為だったなと反省もする。
その翌年もうひとり邪魔な叔父の孝徳天皇の
一人息子である有間皇子を謀反の罪で仕組んで
蘇我赤兄に有間皇子が謀反を企んでいると
嘘の証言をさせ有間皇子を絞首刑にて処刑した。
有間皇子は最後まで自分はやっていないと
否定しておった馬鹿な奴だ。
謀反の罪に吾が仕組んだのだからアイツは
本当にやってなかろう。だが嘘が真実だと
知らしめれば、それが真実となろう。
それから百済の惨敗兵が倭国へと流れ着き
吾の家族を人質に百済王子・扶余豊璋と
残留兵達を百済へと送り届ける手伝いをさせられ
その道中筑紫の朝倉で母の斉明天皇が倒れた。
その間、吾の思い人である我が妹が
吾を手助けしてくれ片時も吾の側から離れず
共に一緒に過ごしていたが、
吾39歳の頃我が愛しい妹が病気で亡くなった。
その3年後、吾42歳の頃、
ようやく吾が天智天皇として即位した。
吾はようやく長い道のりの果てに天皇として
即位出来、都を飛鳥へと再び戻そうとしたが
吾の1番目の娘大田皇女が毒を盛られて亡くなり
吾の2番目の娘鸕野讚良が言うには
白村江の戦いで百済は負け、唐・新羅連合軍が
百済を手助けした倭の国に報復を報い大田皇女は
その犠牲になったとの事だ。
吾はなんとしても守らなくてはならぬ。
その鉄壁の守りを作るには、
飛鳥でも難波でもなく大きな琵琶湖に守られてる
大津に都と思いつき近江大津宮を遷都したのだ。
その年、少し吾の愛する妹にも似ている
兄の娘(兄の忘れ形見)を吾の皇后にした。
吾が一番に思うのは我が妹間人皇女ただお一人。
だが少しでも我が妹に似てるただそれだけで
兄の娘を皇后にしたが、その娘の子を
どうしても作れなかった。
吾に凄く似た者がいる、しかも身近に。
吾の強欲さに非常に近し者が。
吾の2番目の娘鸕野讚良である。
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