葬儀屋の秘密

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　華は寂しそうに呟くと、椅子に座る。雅史もつられて隣に座り、華の話に耳を傾けた。

「華、二人を悲しませちゃったから。華知ってるんだよ。二人が毎晩泣いてるの。だからごめんなさいって言いたい。でも、言っても二人には聞こえてないんだよね。やっぱり、怒ってるんだよ」
「怒ってないですよ。ただ華ちゃんが見えないだけです」
「……華は、天国に行ける？」

　華は寂しそうな瞳で雅史を見ると、雅史はしばらくしてから頷いた。その頷きに安堵の表情を浮かべると「そっか」と小さく呟く。

「じゃあ、お母さんとお父さん怒らない？」
「怒りませんよ。そもそも怒っていませんし、心配しなくて大丈夫です」

　雅史は華に優しく笑いかけると、華がこくりと頷いた。その小さな動きに小動物を連想させ、ウサギを思い浮かばせる。

　雅史は遺影を見た。ここからだと光の反射が無く、綺麗に無邪気に笑う少女の写真が見える。少女は会場の涙を誘うような儚い笑みを浮かべており、輝いていた。明石華、それがトラックに轢かれて亡くなった少女の名前だ。今、雅史の横にいる少女がそうである。

「華ちゃんのタイミングで良いですからね」
「タイミング？」
「華ちゃんが良いよって思ったときです」

　全てを語らず、華に告げる。華はしばらく考えて、それから「うん、分かった」と言うとしばらくじっとしていた。何も喋らず、ただ辺りで作業する音だけが聞こえてくる。

「良いよ」

　しばらくしてから華はそう言うと、雅史を見た。真剣な瞳に雅史は頷くと、華の頭を優しく撫でる。穏やかな笑みを浮かべて、それから口を開いた。