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雪が降り積もって行く中、闇が辺りを包む。マルセルは城から馬を走らせ、城下町を抜けると、街道を抜ける。
馬を走らせて数刻のうちにその異様な雰囲気を漂わせる木々の群生地にたどり着いた。
大きく見上げるその木々には太い蔦が巻きつき、こちらを捕食する勢いで蔦の触手が伸びてくる。
少年を左手で抱え、右手で炎の剣を操り、どんどんと斬り伏せ、森の中にある泉の前で馬から降りた。
「さて、お前に運があるか確かめさせてもらうか」
少年を他に下ろし、温まってしまった布を泉に浸し、再び少年の右目を冷やしてやる。
「餞別だ。魔術が使えるかは分からないが、ないよりはマシだろう?」
眠る少年の傍に短剣を置く。装飾は見事なもので、宝玉が散りばめららており、高価なものということが一目で分かる。
5匹程度の狼の魔獣がこちらに来たが、剣先の伸ばした炎の剣で一掃する。
「生き残れるかはお前次第だ。生きて帰ってきた時には、その短剣を返せよ」
マルセルは少年の元を後にした。後は振り返らずに馬でかけて行く。
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