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5時間目の授業が終わり、理科室から戻ってくると、教室内ではウサギのガラス細工探しが始まっていた。
「ねえ、奈緒のウサギどこにいったか知ってる人いる?」
声量のある横山佳奈が大きな声でクラスメイトに問いかけているすぐ横で、佳奈の親友の東堂奈緒が目を潤ませながら机の中やカバンの中を必死に探していた。
「奈緒が今日ウサギのガラス細工持ってきてたの知ってるでしょ? それが理科室に行っている間になくなったんだって! ねえ、あれ奈緒の大切なものみたいだから、見つけた人いたら教えてあげてね!」
佳奈が大きな声でクラスメイトに問いかけ続けていると、誰に言うでもなく、大きめの独り言のような形で、頬杖をつきながら作ったような不安そうな声で澄見瑠美香が呟いた。
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