Time is money.

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Time is money.

4 「よっしゃー! 一攫千金ですよ!」  七条君が扉に駆け寄り、箱の中に手を突っ込んだ。 「何が入っているんでしょうね。ピンクダイヤモンドとか龍涎香ですかね? これで大金持ちですよ!」 (お前の実家は老舗料亭だから金に困ってないだろうが!) と心の中でツッコミを入れる。だが、正直、俺もワクワクしている。どんなお宝が飛び出すのか……。 「あれ?」  七条君は怪訝な顔で扉に入れた手を抜いた。手に握られていたのはだった。針は正確に時を刻んでいる。和気さんがその時計を覗き込む。 「あぁ、これは普通の金時計ですね。売れば一万円くらいの値はしますけど、そこまで高価な物ではないです」  その言葉に七条君はへなへなと崩れ落ちた。 「マジか~。まんまと騙されましたよ! 江藤って奴、マジで許しませんよ!」 「いや、それは違うな。江藤氏は嘘を言ってはいない」  俺の口から漏れる台詞。俺は七条君から時計を受け取る。 「宝物について江藤氏は『我々が無意識のうちに探しているもの』と言っていた。それはだ。『時は金なり』って言うだろう? 就活中にふと思ったんだが、人間は常に時間の制約と戦っている。課題の提出、仕事の納期、そしてどんな人間でも死ぬまでのカウントダウンがある。つまり、。この時計はそういう意味じゃないのかな?」  俺の台詞を聞き、七条君は黙り込んだ。  俺の手の中で懐中時計の針がチクタクと時を刻み続けていた。 (完)  
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