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野盗に襲われ一家を皆殺しにされた弥兵衛は、修行のため洞穴の向こうで五年の歳月を過ごし十八歳となったが、現世では僅か五日が過ぎただけであった。野盗を打ち果たした後には、見分を広めるため京へ来て不動寺に寺男として勤めることになった。そこで最初に会った女の子が、如何様賭博の借金で畑を取られそうになっている父親を、やくざに連れ去られたと言う。現世には煩悩が渦巻いていると聞いていた弥兵衛は、初の働きとして博奕を取り仕切る熊風の権蔵一家を打ち払い、京から離れさせた。だが、清太郎と名乗る壺振りには、事情を察し三年の修行期間を持って京に戻るよう諭した。
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