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「……それで、どんな茶番に付き合わせようってんです?」
──セントレーニア魔法士官学校、その学長室にて。
「夢見てんじゃねーんですよ?」
とある二人の会合が行われていた。
片方は……真っ白でふわふわなロングヘアに羊の耳を持ち、白ワイシャツのようなデザインワンピースを着ている、眠たげな目をした気怠げな雰囲気の女性である。
もう片方は、なんとただのぬいぐるみである。それが高そうなソファーに座っているのだが……驚くべきことに、それは動いて喋っていた。
「いやいやそんな、茶番だなんてとんでもない。あなたさまのお力を借りようっていうのに、つまらない舞台にするつもりなんかありませんよ」
やたら恭しい態度なのが逆に神経を逆撫でにする気もするが、羊の女性はふすんと鼻を鳴らすだけにとどめる。
「どうだか……てめーのやることに付き合わされて、まともだったことがそもそもねぇんですよ……学園長、須藤メアリ?」
「……ぼくはただのスーちゃんですから」
『中の人』を言及されたぬいぐるみは、バツが悪そうに視線を落とす。
「それに……あなたの助力が必要なのは、本当のことなんですよ……魔法催眠術師、岡田メフィ?」
それでいて言うことはきっちり言うスーちゃんに対して、女性もまたふすんと鼻を鳴らした。
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