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アリアは首からペンダントを外すと、少女の手の平に載せた。
「お嬢ちゃん、どうこれと交換する?」
「わあ、すごいきれいな石。うーんどうしようかな? これと交換なら……いいかな?」
「ありがとう、私はアリア。あなたの名前は?」
「私? 私の名前はドロシー」
その瞬間、急にクローネは驚いた表情をして腕を組みはじめた。
「ははーん、そういうことか……」
「どうしたの?」
「いや、少し思い当たることがあって」フッとにやけるクローネ。
少女から四つ葉のクローバーを受け取ると、慎重にガラスの筒に入れ、封を閉じた。
「よし、それじゃあ出発だ。現代に戻るぞ!」
タイムブルーマーを始動すると、アリアはクローネの後ろにまたがった。
「ドロシーちゃん、ばいばい」アリアが軽く手を振った。
「おばちゃんたち、どこに帰るの?」
「んん? 私たちは未来に帰るの。それに言葉には気をつけなさい、私はお姉さんですからね」
ちょうど夕刻になり夕陽が赤く染めだした空に、ぽっかりと黒い穴が現れた。
クローネがグリップギアを回すと、ブルーマーは再び蛍色に輝きはじめ、暗闇に吸い込まれていった。
穴が消えると、夕暮れの空にちりぢりときらめく蛍の光が舞った。
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