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「今戻りました。ご依頼の品はなんとか手に入れましたよ」
クローネはガラスの筒を振ってみせた。
「ずいぶんと早かったのう、もう少し時間がかかると思っていたが」
「いやそれがちょっとした不具合があって……少し過去に戻ってきたんですよ」
「またおかしなものを発明したんじゃな。そんなことだから、ここを追い出される羽目になるのじゃ」
「でもこのミッションを成功させれば、復帰できるという約束でしたよね? ドロシー所長」
「ドロシー?」
「おお! 久しぶりじゃな、お嬢ちゃん。たしかアリアさんだったかの? あの時はすまんのう、おばちゃんなどと言ってしまって」
「……どういうこと?」
「地上の黒呪術汚染を除去するには、自然の生きたマジックマテリアルがどうしても必要じゃった。そこでクローネに『四つ葉のクローバー』の採取を依頼した。まさかあの時につながっているとは私も想像しておらんかったわ。これも何かの因果じゃのう」
「それでこのクローバーをどうするんだい?」
「……中央魔法陣に案内する」
所長は椅子を立つと二人の前に赴き、杖を出すと呪文を唱えはじめた。
「わが名はドロシー、契約に基づき彼方の地へ飛ばせ」
つむじ風が巻き起こると三人を包み込み、シュンと一瞬にして消し去った。
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