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「おばちゃんたち何やってるの?」
アリアが見上げると、幼い少女が一人、しゃがみこんだ姿を覗きこんでいた。
「おばちゃん……失礼ねぇ、私はこれでもまだ二十二歳よ」
「子供からすれば、おばちゃんだよ」
ククッとクローネがまた笑った。アリアはむっとしながらも、少女を見て自分の妹のことを思い出していた。
「お姉ちゃんたちはねぇ、四つ葉のクローバーを探しているの」
「あ、それじゃあ、私と同じだ。ひとつ願いを叶えるために探しているの」
「ふーん、どんな願い?」
「えーっとねえ、ずっと平和な世界が続きますようにって」
アリアとクローネは顔を見合わせた。
「……そうねえ、現実って難しくて、なかなか思うようにはいかないものなんだ」
「なんでそんなこと言うの? おばちゃんは幸せじゃないの?」
「私は……ごめんね、妹が病気でなんとか治してあげようと必死で、幸せなんて感じたことがないの」
アリアの頬に一筋の涙が流れた。
「ふーん、じゃあ一緒に探して、みんなでお願い事しようよ」
そこから三人で手分けして、四つ葉のクローバーの探索が始まった。
アリアがクローネに問いかける。
「どう? 見つかった?」
「いや、ないな。これだけクローバーがあるのに四つ葉って、なかなか見つからないもんだな」
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