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「なんで四つ葉のクローバーが幸運を導いてくれるのかしら?」
「そうだな、魔導科学研究所で教わったことによると、クローバーの三つ葉が空間三次元を表しているのに対して、四つ葉は四次元、つまり時間を表しているらしい。過去未来の気運操作を微弱ではあるができるようだ」
「そんな微弱な魔法では妹は救えない。早く鉱石を持ち帰らないと……」
「やばいな、そろそろ時限が来る」
「え?」
「この時間移動魔法は時限があってな、移動時間が長い分、三時間しか持たないんだ。それを過ぎると、俺達は時空の狭間に消し飛ばされる」
「なんですって? それじゃあ、急いで戻りましょう」
「いや俺は目的を達成しないと還れない。これには大きなミッションが関わっているんだ」
「あー! 見つけた」
少女が大きな声を上げた。二人が近寄って草むらを見つめると、たった一つだけ四つ葉のクローバーが隠れていた。
「本当だ、こんな土手のすぐ横にあったとは。お嬢ちゃん、悪いがこれ俺たちに譲ってくれないかな?」
「えぇ? やだ。私が見つけたんだから」プイッとそっぽを向く少女。
「俺たちは時間がないんだ。そうだ、このペンダントと交換っていうのはどうだい?」
クローネはアリアがぶら下げたペンダントを指差した。
「何言ってるの! これは自分の命より大事なものよ」アリアはペンダントをぎゅっと握った。
クローネはアリアに近づき、耳元でぼそぼそと呟やく。
「まあ、落ち着け。いいか? 実はこの天然四つ葉クローバーは現代では手に入らない超希少マジックアイテムだ。エレメンタル鉱石百個分に相当する価値があるんだよ。だから心配しなくていい」
「エレメンタル鉱石が……手に入るということ? 信じていいの?」
「大丈夫だ、こう見えても俺は人を裏切ることはしない」
「もう私は罪を犯した。どうせ捕まるなら、あなたに私の願いを託したほうがいいかもしれないわね……」
「それについては俺に考えがある。まかせておけ」
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