偏屈男

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偏屈男

 僕は幼い頃の両親の姿を見て、絶対に結婚しないと決めていた。結婚生活はつまらないものだと思ったからだ。  うちの父親は酒に酔うと母に暴力をふるった。  ある日の夜中、物音に目を覚ますと生後間もない妹を抱く母に父親が手をあげようとしているところだった。  僕は急いで母の前に立ち手を広げた。  一瞬怯んだ父親だったが、それでも僕を突き飛ばし母を殴った。  酒に酔うたびに暴力をふるう父親と、すすり泣く母親。  次の日に土下座をして謝る父と無視する母。  酔ってない父は普通の父親だったと思う。
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