第1編「エスパーではありません、声に出ていますよ」

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◇  彼女――小日向恋幸(こひなたこゆき)は、とくべつ有名というわけではないがそこそこ売れているの、いわゆる中の中ポジションに収まっている小説家。  得意ジャンルは恋愛、苦手ジャンルはホラー。処女作であり代表作品の『未来まで愛して、旦那様!』は現在3巻まで絶賛発売中だ。  そんな彼女は、今日も原稿作業……とは建前で、迫りくる締め切りから現実逃避をするために行きつけの『モチダ珈琲』という喫茶店へやって来たのである。 「いらっしゃいま……あら、小日向ちゃん!」 「店長さん、こんにちは。お疲れ様です!」 「こんにちは。禁煙席で良かったわよね?」 「はい!」 「好きな席にどうぞ。お冷とおしぼり持ってくるわね」 「お願いします!」
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