21人が本棚に入れています
本棚に追加
見つからない!
クビを宣告されてからあっという間に時間が過ぎていつの間にか私が退職する日になった。高卒でこの会社に入社して何だかんだ10年近く働いてた。俗に言うOL。可もなく不可もなくの職業で、私自身もこの会社にとっては可もなく不可もない存在であった、、、という訳ね。
考えてみたら何だか虚しい。
あなたは必要不可欠な存在なの!
そんな風に言って貰えるような働き方が出来る人って一体世の中にどれくらい存在するんだろうか?
大概の仕事において実は「代わりの存在」なんていくらでもいるんだ。
でも大概の人は「代わりがいないから頑張らなきゃ」そう思って仕事をする。
日本人の大半がバカ真面目で融通がきかないのはきっとこの矛盾の大きさ故になのだろう。
私は「代わりのきく存在」であると、会社だけではなくこの世の中に証明されてしまった気がした。
「朽木さん、お疲れ様。」
所属する部署の代表から花束と餞別の品が贈られた。これが寿退社とかならどんなに良かった事か、、、
「ありがとうございます。」
内心は全くありがたくない。
拍手と共に送られる事なんて生きている内に何回あるんだろうか?
その数回しかないはずの花道が何一つ嬉しくないものになるだなんて思いもしなかったよ。
「今までありがとうね。」
「まだ若いんだから頑張れよ。」
「朽木さんなら大丈夫よ。」
掛けられる言葉は不快でしかない。
早くこの場を後にしたくて足早に去っていく私。
最初のコメントを投稿しよう!