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心を砕いて
「今日からよろしくね!」
その夜、朝日の歓迎会が開かれた。
私は出窓に座って本を読んでいた。
私が居ても居なくても変わらないだろうし。
「夜、一緒に食べよー?」
「朝日の為の歓迎会なんだから。」
「えー、夜と一緒に食べたいのにー。」
朝日は悲しそうに笑った。
私はコップを持ってベランダに出た。
朝日、会ったばかりなのに馴染んじゃって。
朝日は明るくて…私とは大違いだ。
コップのお茶を飲み干した。
親に軍人は向いてないって言われたのは本当だった…私が向いてるはずなかった。
無能だからこんなことで悩んでた。
歓迎会が終わった今でも。
今は仕事の山に感謝していた。
初めて総統特有の仕事の山に感謝していた。
今、手を止めると窓から飛び降りたくなりそうだ。
「夜、入ってもいい?」
「どうぞー。」
「今日の書類、終わったよー。やばくない?」
「朝日の放浪癖が出たから書類を受け負った。」
「朝日は凄いよな。」
また、朝日が誉められている。
「でもなぁ、朝日は努力とか嫌いなんだろうな。」
「朝日は軍医としては腕は申し分ないから。」
私はチクチクとする心を砕いて笑った。
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