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戦争は始まった。
旅行という名の偵察から帰ってきてすぐに戦争は始まった。
蒼人様や私達が想像していたより大きくなってきていた。
「この町、好きだったけど。」
シャムがナイフを回しながら言った。
「私も正直、ここまでやる必要はないかなぁって思ったけど。
みことさんは暗殺されたってことでも良かったみたいだけど蒼人様が止めてくれたらしい。」
「私、それでも良かったのに。」
まるで気に入らないとでも言っているようだ。
ビュウビュウと風が強く吹いている町はあの時の旅行とはかけはなれた姿をしていた。
綺麗だった町は瓦礫に埋もれて、楽しそうな声たちは悲鳴に変わった。
この世は弱肉強食と言うけど本当にそうなんだろうな。
…本当に人間ってめんどくさい。
「シャロ、後悔は燃えないよ。」
シャムは青色の上着の上からキラキラと光るネックレスを握った。
「分かってるよ。」
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