敗北

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「あんたとは初めて会う。あんたに恨みはない」 「私も君に恨みはない。君が私に殺されるのは仕方のないことだ」 「仕方のないことついでだな、今からあんたと俺が死ぬことも仕方のないことだ」 「死ぬのは君一人だ。どうやって私を……」 指揮官が俺の体を見ると、青褪めて声を失った。 体中に爆薬が仕込まれていて、その場が爆風に包まれた。 左胸に仕掛けた爆薬は、銃弾によって、 数秒後に、爆発する特殊な仕掛けの物だった。 俺は、指揮官が左胸を必ず打つことを信じていた。予想通り、撃ち抜かれた。 数秒後にしたのは、俺の親友を殺した指揮官が青褪めた姿を一瞬でいいから見たかったからだ。 実は俺の心臓は右にあり、爆風によって、俺は満身創痍を通り越して、全身に酷い火傷を負い、自身で歩くことすらできなくなった。 粉塵が舞い、炎が轟々と燃え盛る中、 俺は生き残っている仲間の肩を借り、 戦場から生還した。 戦場から引き上げる時に呟いた。 「指揮官さんよ、俺は両方の胸を打たれるか、 爆発でお互いに終わっても良かった。 俺はせめて引き分けにしたかった。 だが、意地でも敗北だけはしたくなかった」
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