ホントの夫婦になりたい

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「君は…」 「マンションではお会いしたことなくて、ご挨拶出来ずに…すみません。 山野コーポレーションの山野颯と申します。」 「先日は妻と息子がお世話になりました。宇都宮物産の宇都宮絢人です。」 「宇都宮物産…社長…」 「ん?」 「ぁ、妻の美咲です」 「山野美咲です。あの仕事では旧姓で…高橋美咲と…。 私、宇都宮物産で受付を…」 「うちの?」 宇都宮社長と由紀乃さんが 美咲の顔を見ながら 「あ!受付の高橋さん…あ、絢人さん、 今度秘書課に…コソコソ…ってコソコソ…仲村課長がおっしゃってた方よ…ほら、ね?」 「あぁ、高橋さんね」 「あの…私がなにか?」 「いえ、私も来月から職場復帰するのよ。山野さん…ん?高橋さん?…美咲さんとお呼びしても?」 「もちろんです。奥様が職場復帰?」 「私…元々秘書課におりましたの。育休明けで復帰するのよ」 「そうなんですね…よろしくお願い致します」 女性どうしなんだか楽しそうに話しているのを、宇都宮社長と眺めながら 「あ、宇都宮社長。少しビジネスの話をいいですか?」 「もちろん。山野くん…社長はよしてくれ。ハハ…」 「では、宇都宮さん。実は…今、新事業を…」 美咲の親父さんとの仕事を 宇都宮さんにも持ちかけてみた 検討してくれるというので、連絡先を交換し 「じゃ行こうか?由紀乃」 「はい」 「山野くんまた!」 「またね。美咲さん。」 「はい、失礼します」 「はい、またご連絡いたします」 寄り添う宇都宮夫妻の後姿を見ながら 「素敵なご夫婦よね?」 「そうだな」 「ところで、由紀乃さんとどこで知り合ったの?」 「え?」 少し拗ねてみせる美咲にドキドキした。 「何?ヤキモチ?」 おどけて聞いてみる ん? 俯く美咲の耳が真っ赤に… え? まさか…まさかだよな 「由紀乃さん…綺麗だし…颯…余所見…しちゃ…ヤダもん…」 小さな声で美咲が… 「美咲…帰ろ…ちゃんと話したいことがある」 「うん…」 レセプションパーティーも終わりに近づいていたので そっと抜け出すように マンションへ戻った 俺の気持ちを ほんとの気持ちを 美咲に伝えよう 契約結婚ではなく ホントの夫婦に なりたい と
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