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「お疲れ様。疲れた?」
「颯も…お疲れ様。大丈夫…緊張はしたけどね」
「何か…食べる?」
「ん…軽く食べたいかな」
「わかった。先にシャワーしてきて…作っておくから」
「ありがとう」
美咲も疲れただろうに
気がきく…居心地がいい
シャワーを浴びながら
どう気持ちを伝えようかと
頭を悩ます
「お先に。お、いいニオイがする」
「おうどんにした…」
「うまそ」
「どうぞ」
「美咲は?」
「私も先にシャワー浴びていいかな?早く楽な格好したい…クス」
「あ、ごめん…そうだよな。いっておいで」
「うん」
美咲が戻ってきたら
素直に全て話そう
彼女はちゃんと受け止めてくれるだろうか
うん…美咲なら
学生時代までの彼女しか知らないが
好きになった女だ
未だ忘れられずにいた女だ
彼女が用意してくれた食事は
身体だけじゃなく、心まで温めてくれているような気がした
カチャ…
美咲は
キッチンへと向かい飲み物を出し
戻ってきた
「今日はお疲れ様でした」
「緊張してたから…肩も脚もパンパン」
「ありがとな。」
「ううん…」
ソファに並んで座ると
美咲の体温を感じる
「なぁ美咲」
「ん?」
「契約結婚のこと」
「う…ん」
「終わりにしたい」
「え?」
「やっぱり…お父さんの会社…」
「いや、違う。親父さんとのことは順調に話は進んでるから心配いらない。」
「じゃあ…どういうこと?」
「俺…美咲を助けることが出来るならって契約結婚の話を持ちかけたけど…俺…。美咲…俺とホントの夫婦になってくれないか?」
「え?ホントの…って」
「俺、7年前から美咲のこと忘れられずにいて…。ずっと好きだったんだ。」
「颯…」
「あの日、ちゃんと告白するつもりで映画に誘ったんだ」
「ん…」
「再会するまでは、なんで急にいなくなったりしたんだ…ってわからないことだらけで美咲に怒りの気持ちがあったりもしたけど…やっぱり好きで…」
美咲は俯いたまま
微かに震えているように見えた
「美咲?」
「はや…て…」
ポロポロと涙を流し
俺を見つめ
「私も…颯が好き」
「ホントに?」
「うん」
「あの日ね…颯とデートだって、すごく楽しみにしてたの。でも、前の日にお父さんから引っ越しのこと聞かされて…」
「うん」
「なんにも言わずにいなくなってごめんね」
「もう…離れんなよ美咲」
「離れないよ…颯」
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