第四章 生まれ変わっても

27/29
235人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
 何も言わない私を見て 「大丈夫です。エマ様もアリア様の幸せを一番に想ってくれています」  そう、お母様はきっと天国で笑って見守ってくれている。  あの時、ディラン様と生涯の誓いを交わす前、私に勇気をくれたのはお母様だから。  そんなことないって、空耳だって言われるかもしれないけど 「好きなように生きなさい」  そう背中を押してくれた。 …―――… 「また来てね?今度は、私が作った料理をご馳走するから!」  帰ろうとしているレオに声をかける。 「はい!また遊びにきます。それで……。俺もアリア様みたいな女性と交際できるように頑張ります」  レオの顔が少し紅潮したように見えた。 「ありがとう。冗談でも褒められて嬉しい!」 「レオ。今度会った時に――」  クリスが何かを言いかけたが 「それじゃあ。また!お元気で!」  彼は足早に帰って行った。 「何か用事でもあるのかしら。最後は急いでいるように見えたけど……」 「あれは、私が怖いからでしょう」 「えっ?」  怖いってどういうこと? 「アリア様。今日の夜、星空を見に行きませんか?」  クリスの言葉を聞いて、私の疑問はすぐ忘れ去られた。 「はいっ!行きます」  その日の夜――。 「さぁ。行きましょうか?アリア様、髪留めを付けて行くんですか?」  私が短くなった髪の毛に髪留めをしたら、クリスが不思議そうに問いかけた。 「ええ。これは、クリスとのデートよ。少しでもオシャレをして行かなきゃ。エマお母様が残してくれた数少ないものだし。夜だったらつけていても目立たないでしょ?」  彼はフッと笑って 「はい」  返事をしてくれた。  家から出て、彼と手を繋ぎ、しばらく外を歩く。  空を見上げると輝く星々があった。 「わぁ。綺麗」  届きそうな星空に手を伸ばしていたら 「これでもう少しだけ近くなります」  クリスが軽々と私を持ち上げてくれた。 「ホント!さっきよりも近くなったような気がするわ」  私が笑っているとクリスも微笑んでくれた。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!