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「ねぇ。クリス。これからもずっと私と生きてくれる?」
「はい。もちろんです」
「生まれ変わっても……。ずっと一緒?」
「はい」
私だけに見せてくれる優しい顔で、彼は迷わずそう答えてくれた。
「アリア様。今度は私から聞きたいことがあるのですが、良いですか?」
クリスが私に聞きたいこと?改まってなんだろう。
「はい。何でしょう?」
彼は一呼吸置いて
「私と……。結婚してくれますか?」
けっこん……。結婚。クリスと結婚!?
私の返事はもちろん決まっている。
「はい!」
嬉しくて彼の肩に手をおき、チュッとキスをしてしまった。
「ねえ?クリス。今夜はこの後の続きをしてくれる?」
女性からこんなことを強請るのは、やっぱりマナー違反かしら。
でも――。
きっと彼はこんな私も受け容れてくれる。
「アリア様が望むのであれば。私も……。アリア様にもっと触れたいです」
半年間彼と一緒にいたが、男女の関係になって、身体を求めたことはなかった。一度、フランシス家にいた時にそういう雰囲気になったけれど、強盗に襲われて邪魔をされてしまったし。
「私……。今、すごく幸せ!」
「私も幸せです」
こんな綺麗な星空の下、愛している人にプロポーズをされた。数年前の私は、こんな素敵な未来を想像できなかっただろう。
「これから先も……。アリア様は私の命に代えてもお守りします」
彼は私の執事となった日と同じようにそう言った。再会した日を思い出す。
「はい」
あの日と同じように返事をした。
「今は……。私の執事ではなく、クリスは私の王子様ね!」
彼はクスっと笑って
「そう言ってもらえて嬉しいです」
こんな顔する人だとは最初は思わなかったけれど、彼も私も変わったんだ。
これから辛いことがあるかもしれない。
本当のことが世間に知られ、追われる立場になるかもしれない。
けれど、ジュリエットのような悲劇にはさせない。やっと見つけた私のいる場所だから。
彼と一緒なら、どんなことでも私は乗り越えられる――。
<終わり>
※次のページに現在の表紙や挿絵を描いてくださった武田ロビ様からのイラスト付きメッセージがあります。
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