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呼び寄せる人物を見て、目を見張った。
背が高くグレーのスーツを身に纏っていて、縁無しの眼鏡が良く似合い、人目を引く男性がこちらに向かって歩いてきた。
(凄いイケメン!こんなにカッコイイなら、お見合いなんてしなくてもモテると思う。
もしかして、性格が超悪いのかも?)
城戸聡司は眉間にシワを寄せて、私と母に向かって頭を下げた。
高校の制服を着ている私を見ても、お見合いとは思ってないようだった。
「聡司、時間ピッタリね。
こちら伊藤さんよ。小原呉服店店主の妹さん。そして、こちらが紫さん。」
母と一緒に立ち上がって、ゆっくりと頭を下げた。母が最上級の微笑みで、
「初めまして、小原呉服店店主の妹で伊藤と申します。お母様には大変、お世話になっております。」
そして聡司が座ると、聡司の母がお見合いだと説明した。
聡司は私を見て驚いているようだったが、見つめられて顔が赤くなっていくのが分かった。
「聡司がお見合いを断ってばかりいるから、こうして呼び出したの。
この後はホテルのフレンチレストランを、あなたの名前で予約したから。
紫さんをしっかりエスコートしなさいよ!」
「かなり強引な手段できたね」
聡司は低い声で言うと、冷たい視線を自分の母親に向けた。
長い脚を組んでいる仕草があまりに素敵で、つい見惚れてしまった。
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