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ピーポーピーポー
救急車が猛スピードで医療センターに入る。
「女子大生が10トントラックに巻き込こまれました。出血大。右腹部からタイヤ痕あり内臓破裂の可能性大。受け入れお願いします」
医師、看護師が救命救急の入口に集合する。
「着きました」
「ストレッチャーに移動します。そっち持って、1、2、3」
女子大生の服は元が何色か分からないくらい血で染まっている。
洋服がハサミで切られ、いくつもの検査機器が取り付けられる。
「バイタル、正常。呼吸、正常」
「ん?」
「裂傷、損傷、打ち身見当たりません」
「ん?」
「骨折もありません」
「ん?」
「腹部レントゲン、MRIは?」
「今、現像でてきます。出ました。所見なしです」
「ん?」
救命救急の吉田先生は、きつねにつつまれたように頭をかしげた。
傷も何もない、骨折もない、10tトラックに踏まれたのに・・・。
「この血はいったい誰のだろう?」
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