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一年目 ~移民の歌~
僕らの行き着く場所はただひとつ、西海岸だー
―「移民の歌」
大学に進学したらギターをはじめよう。
そう決めたのは、僕が高校二年生の頃だ。それが正しい青春のあり方だと信じていた。その想いはとてつもなくまっすぐで、春先の台風のように迷いがなかった。
進学を志望していた大学の合格発表の日、掲示板に張り出された自分の受験番号を見つけた僕は、電話で両親に合格を報告した後、その足で楽器屋に向かった。あらかじめインターネットで調べて見つけていた店は、外観は小ぶりだけれど驚くほどたくさんのギターが置いてあった。目がチカチカするほど色んな種類のギターがあったが、僕は迷うことなく赤いレス・ポール・タイプのエレキ・ギターを買った。初めて教本なるものを拝見し、コードはもちろん、まだドレミもまったく弾けないが、最初に弾きたい曲は決まっている。というよりも、この曲を弾きたいがために僕はギターを買ったようなものだ。
ジミー・ペイジの腕が唸る印象的なギター・リフにボンゾのパワフルなドラム、ロバート・プラントの情熱的なシャウトが聴く者の魂を揺さぶるレッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」だ。もちろん、ジョン・ポール・ジョーンズの重厚なベース・サウンドも忘れてはいけない。
アァアーアァー!!
文字にしてしまうとなんだか調子の外れたターザンみたいだけれど、その迫力満点のシャウトで始まるこの曲は、誰もが一度は耳にしたことがある名曲中の名曲として、ロック史にその名が刻みこまれている。
「移民の歌」は僕の魂を揺さぶっただけにとどまらず、四月から始まった東京での新生活に多大な影響を与える人物との出会いのきっかけとなったのだから、まさしく運命の一曲に違いない。
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