現れる

2/13
前へ
/182ページ
次へ
「はあ、」 そんなことを考えながら 今日何度目かも分からないため息を吐いたとき⋯、 「幸せにげるよ?」 後ろから声がした。 「っ」 後ろを向くと 怖いくらい整った顔があった。 男の人なのに、綺麗と言う言葉が似合う。 甘い顔立ちなのに、その瞳には何か強いものが宿っているようで惹き付けられる。 「あ、ごめんね。驚かせちゃったかな」 そう言い、その男はベンチのわたしが座っているとなりに腰かけた。 「あの、」 「さっきからため息ばっかだから声かけちゃった」 かけちゃったじゃないよ。 「だれ、ですか」 「ん~?」 にっこり笑顔で誰とは言わない。 あ、怪しすぎるっ! いくら美形だからって、怪しい。 「わたし、行きますっ」 そう言おうとしたとき 「美弥」 男がいった。 「は、?」 「名前、俺は美弥(ミヤ)」 美弥…。 「はあ、」 「君は?」 「えっ」 君はって、簡単に教えていいの!? 教えようか迷っていると。 よくこの公園にいるよね。 と言い出した。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

165人が本棚に入れています
本棚に追加