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「どうしよう……」
ミジメだった。そんなミジメな気分を紛らわせようと、私はリビングに移動して、テレビを付けた。
と、それと同時に、
『この道具一つで、硬くて開くことができなかった瓶の蓋が、まるで魔法のように開きます!!』
ちょうどテレビショッピングの時間だったらしく、そんな言葉が、耳に届いた。
テレビの画面では、テレビショッピングの定番のシーンが繰り広げられていた。
その道具は、自動でゆっくりと動いて、蓋を少しずつずらしながら、緩めていっている。
『これならもう、たとえ旦那さんと別れても、瓶の蓋のことに悩まなくていいですね』
その言葉を聞いた瞬間、私はこの商品を買おう、と思った。
夫が好きだったジャムはあと一つ残っている。
ピクルスだって、紅茶だって、残っている。
捨てることもできるけれど、それは勿体無い。
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