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瓶のふたが、開かない。
硬く閉めすぎたのか、どんなに動かそうとしても、びくとも動かない。
念のため、蓋をコンロで暖めて、動かしてみるが、これまた、びくともしない。
「あなた、ちょっと開けてよ」
私は流し台の上に瓶を置いて、そう声をかけた。
だけど、2DKアパートの部屋はしんっとしていて、返事はない。
そもそも、人の気配が私以外にないのだ。
「あ、そっか……」
私は、そのことを思い出して、呟いた。
つい、いつものような反応をしてしまったが、夫は、もうこの部屋にはいない。
私達は、今朝、午前九時過ぎに離婚したのだ。
「どうしようかな」
そう言いながら、私が流しの上に置いたのは、ジャムの瓶だった。
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