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少女と人々を脅かす魔獣が一緒にいたら、皆そのような反応をするだろう。私は自分の背に白い獣を隠すように立ったが、幼い私の身長では獣の大きな体が隠れるはずもない。それでも、私はその子を守るように立ちはだかる。
青年が動く前に、私は声をかけた。
「もし、魔獣と共存できる未来がくるとしたら、あなたはそれを受け入れることができますか」
「突然、なにを……」
動揺する青年に、私は再度同じことを問いかける。突拍子もない質問を、これまた奇妙な子どもが問いかけるのだから怪しまれて当然だ。それでも、私はそれが聞きたくてここまで来たのだ。口を噤み、じっと彼の答えを待つ。
すると逡巡していた青年は、小さく頷きながら言葉を紡いだ。
「もし本当にそんな日が来たら、それは人間にとっても魔獣にとっても喜ばしいことだと思う」
その答えを聞いて、私はほっこりとした気持ちで微笑む。良かった。あやしい子どもにも誠実に答えてくれるこの人は、やっぱりとても良い人だ。
「良かった。あなたが優しい方で」
ありがとうございます、と礼をした私は、再び白い獣に飛び乗ると青年に背を向けて走り出す。
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