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残暑が続く今日この頃。野梅高校の三人はユウコの家で涼む休日を楽しんでいた。
洋館のような佇まいの家、その部屋はやはり洋風でディテールに至るまで一般的な部屋とは一線を画した様相。
しかしもう何度か訪れていたチトセとマホは、いつものように定位置のソファでくつろぐのであった。
お菓子の準備するわね、とにこやかにその場を離れたユウコを二人で待つこと五分程。
木製の大きな扉がきしむことなくスムーズに開けば、トレーの上にはお菓子だけでなく、小さな人形が鎮座していた。
ユウコは何食わぬ顔で、お待たせ二人とも、と言って机の上にトレーを置くのだが、当然チトセはどういうことだと目を顰める。
そこには金色の髪に青い瞳、仕立て上げられた衣装はロココ調の家具に似合いそうで、まさにアンティークと言わんばかりの雰囲気であった。
「え、ちょい待ってユウコ、なにその人形。めっちゃアンティーク感あるんだけど。
もしかしてユウコが昔使ってたやつとか?」
マホが早速お菓子に手を伸ばし食べ始めるなか、ユウコは首をかしげる。
「へ、人形? いったい何のことかしら?」
「……え?」
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