フォーサイズ

1/11
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

フォーサイズ

 残暑が続く今日この頃。野梅高校の三人はユウコの家で涼む休日を楽しんでいた。  洋館のような佇まいの家、その部屋はやはり洋風でディテールに至るまで一般的な部屋とは一線を画した様相。  しかしもう何度か訪れていたチトセとマホは、いつものように定位置のソファでくつろぐのであった。  お菓子の準備するわね、とにこやかにその場を離れたユウコを二人で待つこと五分程。  木製の大きな扉がきしむことなくスムーズに開けば、トレーの上にはお菓子だけでなく、小さな人形が鎮座していた。  ユウコは何食わぬ顔で、お待たせ二人とも、と言って机の上にトレーを置くのだが、当然チトセはどういうことだと目を顰める。  そこには金色の髪に青い瞳、仕立て上げられた衣装はロココ調の家具に似合いそうで、まさにアンティークと言わんばかりの雰囲気であった。 「え、ちょい待ってユウコ、なにその人形。めっちゃアンティーク感あるんだけど。  もしかしてユウコが昔使ってたやつとか?」  マホが早速お菓子に手を伸ばし食べ始めるなか、ユウコは首をかしげる。 「へ、人形? いったい何のことかしら?」 「……え?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!