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下着の膨らみに唇をつけ唾液で湿らせると、胸先と同様に一層はしたなく形をあらわにした。柔らかな弾力を持つ根元を布越しに舐め吸いながら鼻先を硬い勃起に擦りつける。
泳いだ後に使ったシャワージェルの爽やかでウッディなアロマに微かな体臭が混ざった栄の香り。
何度も体を重ねて、痴態は目に、嬌声は耳に焼き付けているのに、一番生々しいはずの味やにおいはひとりの夜に思い出そうとしてもうまくいかない。体調や食べたもの、肌につけるものなど多くの要因に左右されるからだろうか。でもどんなフレグランスをまとっていても、栄は栄のにおいがする。
もちろんそれは、どうしようもなく羽多野の情欲をかき立てる。
「あ、ああ……」
顔全体を使っているかのような濃厚な愛撫だが、薄布一枚に隔てられている。胸も、性器も、敏感な場所に直に触れてもらえないもどかしさに苦しげにうめいて栄は腰を揺らした。
引き締まった臀部を手で持ち上げて、ボトムを引き下げてやる。栄は全て脱いでしまいたいようだが、もう少しだけ焦らしたくて羽多野は下着を残すことにする。
ついでに靴下も脱がし、足裏にひとつ音を立てて口付けするとむき出しの脚が無性に色っぽく見えてくる。足首を掴んで持ち上げてから、足裏からアキレス腱、脹脛から膝へと唇を滑らせた。
膝の裏の窪みを舌で抉ったところで、いきなり栄が脚をばたつかせる。足首をしっかり固定していたので蹴られはしなかったが、邪魔された羽多野は面白くない。
「何だよ」
突然の反抗を咎めると、不安定な体勢ながら栄は上体を起こし潤んだ目で睨みつけてくる。
「それはこっちのセリフでしょう。さっきから落ち着きなく、何なんですか一体」
言われてみれば、栄の不満は当然なのかもしれない。羽多野は衝動のままに栄の体のあちこちを舐めて弄って、中途半端に放置している。
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