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胸元だけ透けたシャツから充血した乳首をのぞかせ、ぴったりとした下着ははち切れそうな性器を生々しく浮き上がらせている。
どちらも直接の刺激を待ちわびているのに、さんざん高められたところで邪魔な布地を取り去ってもらうことすら叶わず、今度は脚へと興味が移るのだから不満はもっともだ。
攻撃的な言葉選びとは裏腹に、先を求める声色は濡れている。風呂上がりの万全の状態ではお目にかかれない類いの痴態を堪能している羽多野だが、栄なりのおねだりに理性はいよいよぐらついた。
「悪い悪い。せっかくのいい眺めだから、脱がすのがもったいなくて」
そういえば自分が着エロ的なものに興奮する性質だと知ったのも、栄と過ごすようになってからだ。
セックスは好きだしやるからには相手を満足させるのはマナーだからきちんと前戯はする。だがあくまで羽多野は過程より結果……つまり射精重視の即物的な男だったはずだ。
「そういう変態的なとこ」
「嫌いなんだろ、わかってる。でも俺は君が嫌がることをするのが好きだからな」
普段の栄がきっちり身なりを整えているからこそ、乱して汚すことに意味がある。至極まっとうな欲望だと思うが、お上品な栄からは理解してもらえそうにない。
「最低」
吐き捨てた言葉は甘くかすれ、とうとう待ちきれず伸びてきた指先が羽多野の頬を撫でた。お互いそろそろ我慢の限界が近づいているのかもしれない。
改めてゆっくりと唇を重ねると、今度は栄も応じる。唇や舌を吸い合いながら座った姿勢で体を引き寄せる。あぐらをかいた膝の上に招くと栄はおずおずと両脚を開いて羽多野の腰に控えめに絡めた。
とことん焦らされた体は長くは持たない。着衣のままで腰と腰を擦り合うと、栄はあっけなく一度目の絶頂を迎えた。
抱きすくめた腕の中で体を大きく震わせて、羽多野の肩に額を預けたまま、まるでプールから上がったときのように荒い呼吸を繰り返す。
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