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「あらまぁ、相性最悪」
「……へ」
「これはまた……珍しいくらいに全く合わないお相手ですよ」
「……」
(一体何を言われているの…?)
目の前で色んな数字や記号を書いて行くふくよかな女性の顔を私はガン見していた。
「このまま結婚されても待っているのは離婚です。始めこそただ好きという気持ちで上手く行くかもしれませんが案外早くにお互い嫌気がさして別れを選択します」
「……そ、そこまで……悪いんですか?」
「えぇ、悪いです」
「……」
「幸せな結婚がしたかったらこの彼とはしない方が賢明ですよ」
「……」
(占ってもらうんじゃなかったぁぁぁぁ──!!)
会社の暑気払い飲み会で盛り上がった帰り道、いつも利用している自宅最寄り駅前に占いのお店が出ていた。お店といっても対面式で椅子がひとつしか置いていないような出張鑑定みたいな簡素なものだった。
つい興味本位でふらふらと寄ってしまったが運の尽き。訊きたくもないような悪い結果ばかりをベラベラと話された挙句鑑定料として三千円も取られた。
(あーもうーなんなのよ!)
しかし占ってもらうと決めたのは私自身なのだから文句は言えない。言えないと分かっていてもよくもまぁあれだけ悪いことばかりしか出て来ないものだ。
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