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弱っているところに施されるその優しさは私にとってはある意味毒だった。決して薬にはならない。私はそう思った。だからその優しさだけで朔太郎を受け入れたりはしなかった。
朔太郎の方もそういうつもりで慰めたり優しくしたりしていないと言ってくれたから受ける方としては気が楽だった。
だけど結果としてそれが朔太郎と交際するきっかけになった。
しばらくはただの先輩後輩としての付き合いが続き、お互い何も予定がない暇な時は遊んだりした。あくまでも友だちとして。
そんな付き合いが半年ほど続いてから私は再び朔太郎から告白された。二度目の告白の時は流石に一度目の時のように即答はしなかった。受け入れるかどうかちゃんと考えたのだ。もっともその頃には既に八割方受け入れる方に傾いていたのだけれどそれでも悩んだのはある友人の言葉があったからだ。
『音葉と賀上くん、相性最悪だよ』
占い好きの友人が星座と血液型から導いた結果を教えてくれた。どうやら私と朔太郎の組み合わせはどちらを見ても一番相性の悪い組み合わせだそうだ。それを訊くまで全くといっていいほど占いで相性を気にしたことがなかった。だけど最悪と言われれば少しは気になってしまうもので……。
しばらく悩んだ私はもうひとりの友人の『別に結婚するわけじゃないんだからとりあえず試しに付き合うだけ付き合ってみれば?』という言葉に後押しされて朔太郎の告白を受けたのだった。
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